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「ん……」

ネロが目を覚ますと目の前には見覚えの無い天井が広がっていた。
同時に自分の身体に目を向けると上着や下のインナーを脱がされ、わき腹に包帯を巻かれて傷の手当てもされている状態だった。

「ここは……」

ゆっくりと身体を起こすとわき腹から鈍い痛みを感じたが、歩けないというほどではなかった。
ベッドから降りて地面に足をつけると地面に立っている感覚を感じた。
どうやら死んで天国にいるというわけではないようだ。

「あら……」

不意に背後から気配を感じ、振り返ると白いスーツの様な服装に身を包んだ短いながらも艶やかな黒髪の女が部屋の入り口と思われる場所に立っていた。
女はネロが立っていることに驚いていたようだが特に警戒する事もなく近くの椅子に腰掛けた。

「あれだけの傷を負っていてもう立てるなんて、さすがね」

女はテーブルに置いてあったカップにコーヒーを注ぐとネロに向かいの椅子に座るように促した。

「アンタが俺をここまで運んだのか?」

「んー……まぁ、そうね。怪我したあなたをあの場所からここまで運んで手当てしたのよ。あの時のこと、どれくらいまで覚えてる?」

「……赤いコートの男が悪魔と戦っていた時……くらいか」

「なるほど……」

「………」

今のネロには聞きたい事が山ほどあった。
しかしそれを目の前の女に聞いてよいのか、聞いてしまった事で自分に不利な事になるのではないか。様々な感情がネロの中で渦巻いていた。
ネロが思案していると、女が入ってきた扉が無造作に開かれた。
視線を向けると赤いコートを羽織った銀髪の男があくびをしながら部屋に入ってくる。

「よぉ、目ぇ冷めたんだな」

男はそう言いながら先ほどまでネロが横になっていたベッドに腰掛けた。
女と同じくネロが既に歩けている事には驚いていないようだった。

「何か聞きたいって顔だな」

「………」

「そう警戒するな。ま、気持ちはわからないでもないけどな。ただ1つ言えるのは俺達はお前さんの敵じゃねぇって事だ。」

男の言葉にネロは少しばかり納得していた。
この男達にどんな思惑があるにせよ敵意があるならばこんな場所に連れ込んで傷の手当てまでする必要はないからだ。
そして今は状況の把握がしたい。そう思いネロは口を開いた。

「ここはどこなんだ?」

「ここか?ここは軍のキャンプだ。どっかの軍が拠点としてるキャンプってとこだ」

「……軍?」

「ここは民家が集まってる小さな街でね。最近頻繁に悪魔の大群が押し寄せてくるからここの住人が軍を雇ったのよ」

男の説明に女が補足をする。

「……アンタ達も軍人なのか?」

「いや、俺達は仕事でここに来てる」

「仕事?」

男の言葉を女が続ける。

「いくら軍って言っても相手は軍人にとっては未知の敵だしね。私達みたいな悪魔を狩ってる人間を雇って悪魔へ対抗しようとしてるのよ」

「……軍の奴らはそれを自分達の手柄にしようとしているのか?」

「そんなとこだ。まぁ、俺達にとっちゃそんなことはどうでもいい。仕事をした分の報酬さえ貰えりゃあな」

そう言って男があくびをする。女も男と同じ考えなのかその事に関しては追求してこなかった。

「とりあえず、お前はまだ寝とけ。何をするにしても体が万全じゃねぇと話にならねぇからな。詳しい事は気が向いたらまた説明してやるよ」

男が立ち上がり、ネロに眠るように促した。
事情はまだよくわからなかったが、今は男の言葉に賛同する事にした。

「ああ、そうさせてもらう」

ネロは再びベッドに横になるが、ふと思い出したように顔を上げた。

「……聞きそびれていたが、あんたの名前は?」

「ん…そういや名乗ってなかったっけか。俺はダンテってんだ。そんで、こいつがリリィ」

ダンテが後ろの女の名前も一緒に自己紹介する。

「そうか……俺はネロだ。助けてくれた事に感謝する」

「細かいことは気にすんなよ。それより、さっさと休まねぇと治るもんも治らねぇぞ?」

「ああ、そうだな……」

そうしてネロは再び眠りに付いた。





それから1週間、ネロはダンテ達と行動を共にしていた。
以前の戦いで負った傷は完治し、魔の血を引いた身体能力をフル稼働させて悪魔を討伐していた。
討伐とはいうものの、ダンテ達が加勢するべき軍での戦闘ではなく、ネロが単独で行動し、その出先で現れた少数の悪魔の討伐というものではあったが。

「大分できるようになったんじゃねぇか?」

悪魔討伐の帰り道、不意に頭上から聞き覚えのある声が届いた。
近くの木に視線を向けると木の枝にダンテが腰掛けていた。

「……来ていたのか」

「まぁな」

そう言いながら木の枝から飛び降りて地面に着地し、

「招集だ」

とネロに告げた。

「招集?」

「ああ。前に言ったここに来てる軍の連中が悪魔の大群を捉えたらしくてな」

「悪魔の大群?急じゃないか?」

「急に出てくんのはいつもの事だろ。どこから沸いてくるのかはわかんねぇがこっちに向かっているのは確かだって話だ」

ダンテが頭を掻きながらため息をつく。

「ま、付いてこい。軍の連中の作戦室に行くぞ」
悪魔が何故どこから現れるのか、それは現場に行って全てを片付けた後にでも調べればわかることだろう。今は余計なことに気を取られずに実戦に備えるべきだ。
ネロは気を引き締め、剣を収納したケースを担ぎ直した。


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 2015_11_19


「ねえお兄さん、水買わないかい?」

水瓶を抱えた少年が男に声を掛けた。
男は水瓶の抱え方から水がそれほど売れていない事、このまま帰れば雇い主に小言を言われるであろう事を察し、さして喉が渇いていないにも関わらず水を購入する。

「お兄さん、ここの人じゃないね」

男の差し出した水筒に水を汲みながら少年が嬉しそうに言った。

「ああ」

「どこに住んでるの?」

「どこでもない。世界中を旅して周っている」

”世界中”という言葉が少年の好奇心を刺激した。

「じゃあ……じゃあさ、宇宙とか行ったことある?」

「何度かな」

「学校で先生が言ってたんだけどさ、そういう所は環境が苛酷だから、そこにいる人たちは皆で助け合って生きてるって……」

「ああ、その通りだ……」

憂いを帯びた顔で男が言葉を続ける。

「だが、そうじゃない場所もある」

「……どういうこと?」

「人は本当の意味で、まだわかりあえていない」

「それってどういう……」

少年の問いには答えず、男は言い値よりも多い金額を少年に渡し、傍らに停めていた車に乗って走り去った。

車を走らせていると多くの民家の壁に貼られている、かつての仲間達の報道写真が目に入ってくる。
共に肩を並べて逸れて以来、会うことは叶わなかった。
しかし、状況は知っていた。かつての師であり、敵となったある男の味方をして、裏で世界を操っている者たちの策略により、社会的に抹殺され、仲間達もまた行方不明になっている事を。
自分達を犠牲にして世界は過去に起きたことを揉み消そうとするあまり、各所で歪みを生み出している。
世界を見てきた旅の中で、男はそのことを痛烈に感じていた。
だからこそ、ここに来たのだ。
自分が変わり始めた始まりの場所に。

小高い丘に車を停めた男は、眼下に広がる廃墟と化した街と焼けて炭になった森の成れの果てを眺めていた。
4年前に、男はここである男に出会い、命を救われた。男の人生はそれを機に変わり始めた。

「…………」

男はそっと瞼を閉じた。
ネロ・クレイトスはあの日の出来事に思いを馳せた。





ネロの運命が変わったのはまだこの森が焼ける前、鬱蒼と生い茂っていた頃だ。
かつて命を落としかけた自分を救い、そして敵となってしまった男との死闘の末、ネロは致命傷を負いながらも師であった男を倒し、気が付くと森のど真ん中に横たわっていた。

「……うぅ……」

朦朧とする意識の中、ゆっくりと体を起こすと右わき腹に激痛が走り、ネロは顔を歪めた。
先の戦いで受けた傷は深く、傷口からは血を流していた。
周囲を見回すと、自分の武器である剣が突き刺さっていた。

「……ぐ……ぅ」

痛みを堪えながら突き刺さっている剣を杖代わりにして立ち上がり、剣を地面から引き抜く。
傷は相変わらず激痛を与えていたが、ここでのんびりしている余裕はなかった。
剣を背負い、左手で傷を抑えながらゆっくりと歩き出した。

少し歩くと人が踏み固めて作ったものと思われる道のようなものを発見した。
少々荒れてはいるが、そこだけ草が生えておらず、微かに足跡のようなもの確認できた。
僅かに安堵し、道の上を歩こうとした時、ネロはその足を止めた。
傷を抑えていない右腕から針で刺されたような強烈な痛みを感じたのだ。それと共に体の芯に火がついたようにわけのわからぬ闘争心が湧き上がってくる。
幼少の頃からネロが感じてきた不快感の意味するところは一つしかない。

疼きだ。そして、その疼きをもたらす相手をネロはこう呼んでいる。

悪魔、と。

その直後、木の影から何かが飛び出してくる。

「くぅっ……!」

即座に回避しながら距離を取り、自分を襲ってきた存在を確認する。
木の影から出てきたのは全身を緑色の鱗に覆われたトカゲのような姿をした怪物だった。
トカゲとの最大の違いは二足歩行で移動するという点だ。
過去に何度か目撃し、交戦した事のあるその存在をネロは”リザード”と呼んでいた。
リザードはネロを目視すると両手の爪をカチカチと鳴らしていた。

「戦うしかないのか…!」

リザードは足が速く、怪我をしているこの状態では逃げ切る事も出来ないと判断し、ネロは右手で背負っていた剣を抜いて臨戦態勢をとる。
傷は癒えておらず万全とはいかなかったが、右腕に力を込めて襲い掛かるリザード目掛けて剣を振り下ろすが、傷を負ったためかうまく力を入れる事ができず、僅かな傷を与えるだけとなった。

「ぐっ…!」

力を込めようとすると傷口から血が溢れてくる。服に染み込み、腰の辺りまで到達していた血液は既に冷たくなり始めていた。
敵の動きが急変したのはその時である。リザードが体を旋回させ、腰から伸びる尻尾を振り払った。
間一髪で剣を割り込ませて一撃を防ぐが、衝撃を吸収しきれず後方に大きく跳ね飛ばされ、後方の木に大きく叩きつけられ、衝撃でネロの肺から空気が搾り出された。

「うっ、くぅ…!」

軽く頭を振り、すぐに視線を目の前の敵に向けた。
過去の経験からネロは一気に攻め込み、撃破する戦法に切り替えることにした。
大きく息を吸い込み、一気にリザード目がけ突進した。
同時にリザードも鋭い牙が並ぶ口を大きく開いて飛び掛る。
ネロは鋭い爪が振り下ろされる寸前、地を蹴り、高々とリザードの頭上に跳躍した。
魔の地を引いているネロは16という若さで人間離れした身体能力を身に付けていた。

「くらえっ!」

そのまま剣を逆手に持ち替え、全身の筋肉と全体重を剣の刀身に乗せリザードの頭と体を繋ぐ首の部分に突き立てた。
思わず耳を塞ぎたくなるような悲鳴を上げながら、リザードは地面に倒れ、息絶えた。

「はぁ……はぁ……ぐっ……終わったか……」

悪魔を討ち終えたネロは傷を抑えて膝をついた。
敵を倒すためとはいえ、傷を負った身体に少々無理をさせすぎた。
しかし、ネロの右腕から発する疼きは治まっていなかった。
今の戦闘に誘い出されたのか、はたまた別の要因か、ネロの周りを大量の悪魔が取り囲んでいた。
倒したばかりのリザードと同じ固体や、蝿をそのまま巨大にしたような悪魔が数体ネロの周りを飛行していた。

「く……っ!」

立ち上がり再び剣を構えるが、大量に血を流したせいか、視界が歪み体勢を少し崩してしまう。
その隙を狙うようにリザードが爪を振り下ろしてきた。
咄嗟に剣を盾にするが、重い一撃に敵の攻撃を受け止めたまま押さえ込まれる。
同時に周りの悪魔も一斉にネロに襲い掛かってきた。
両手が塞がっているネロにはもはや応戦も逃げる事もできない状態だった。

(ここまでか……)

と思われた……が悪魔達の攻撃はネロには到達しなかった。
到達する前に悪魔達の身体はバラバラに砕け散ったのだ。
ネロを抑えていたリザードも例外ではなく後方に弾き飛ばされ、その隙にネロは後方に逃れた。

「おい少年。大丈夫か?」

不意に背後から声を掛けられる。
背後に視線を向けると赤いコートを着た銀髪の男が銃を構えて立っていた。
ネロはその男から妙な気配を感じた。悪魔のような人のような……どこか懐かしいような感じだった。

「怪我してんのか?戦えねぇなら下がってろよ」

男がそう言うのと同時に地面から模様のようなものが現れ、そこから大量の悪魔が出現してきた。

「……ったく……人遣いが荒ぇな……」

男はそう零すと両手に拳銃を構えると一気に引き金を引いた。
 2015_11_10



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プロフィール

ネロ

Author:ネロ
Ship4にて大小の差はあれど活動中。

故にPSO2の活動記録を中心に更新予定。
それ以外の事も気分次第であげていく。

そんな気まぐれな主の気まぐれブログ。

~主な更新内容~

PSO2(キャラのSS集/クエスト、アイテム記録)

趣味でやってるSSや設定など(順次更新予定)

その他(上記2つ以外のゲームや趣味について)


~PSO2やSSに登場するマイキャラの紹介~

     現在画像準備中

ネロ・クレイトス
自分の感情を表に出さないクールな性格。

エリア・リオン
明るく優しい水の精霊。
穏やかさと力強さをもつ女性。

ローズ・クレイトス
ネロの妹であり、感情を表に出さない少女。

アーバイン・サザーランド
様々な銃を使いこなすスナイパー。
飄々とした性格で組織のムードメーカー。

レシア・ライオット
法撃を得意とする妖艶な女性悪魔。
掴みどころのない性格だが、物事の本質を常に捉えている。

レイ・クローディア
良くも悪くも真っ直ぐな心を持つ少年。
守りたい者を守るために強くなることを夢見ている。

クイン・フォルネウス
普段はおとなしいが戦闘になると凶暴になる。

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